ブレイブー群青戦記ー公開おめでとうございます。
公開3日目の日曜日、映画館へと足を運んできました。
まぁ、予想外の出来事があってその2日後に再度映画館へ駆け込む事になったのですが。
3歳から30年間途切れることなく特撮オタクをやってきて、特撮出身の俳優女優さん達のご活躍はいつでもどこでも楽しみにしているのですが、最近久しぶりにこれは紛れもなく新しい推しだ!思える方と出会えたのが仮面ライダージオウでウォズ役をされていたけすけさんこと渡邊圭祐さん。
(推し増し精神なので元々推しの俳優さんもジャニーズも2次元も3次元も並行して推し続けております)
撮影時期的にけすけさんはデビュー作のジオウの次に撮影したのがブレイブになるはずなので実質2作目。
歴史改変する役が2/2(ウォズは黒白赤で計4役とも言える)
特殊すぎるけれどそれが似合うのがけすけさん。
堂々たる悪役ぶりでした。
歴史改変を目論む役と聞いて期待していた以上のものを見せてくれたのが期待通り。
まさか最初に登場するのがけすけさんだとは思ってませんでした。
ありがとうございます。
槍での殺陣シーンも見どころがありすぎて何度でも見たい。
見たかった渡邊圭祐を見れて大大大満足でした。
と、まぁここまではある意味予定通りだったんです。
はい。
こんな事になるとは思っていませんでした。
けすけさん満足度200%だったにも関わらず、この2日間私の頭の中を占めているのはタイトルからもお分かりの通り、とあるバカとバカの2人組でした。
空手部とフェンシング部。
空手バカと前髪バカな相良煉と成瀬勇太。
予期せぬ衝突事故。
学校ごと戦国時代にタイムスリップするという突拍子もない状況に放り込まれて、それまで接点がなかったであろう2人が互いをバカと罵り合いながらも絆を深め、背中合わせで戦う姿が脳裏から離れない。
成瀬を庇って死んでしまった相良。
相良の形見替わりの黒帯を体にしっかり巻き付けて帰還した成瀬。
「先行ってるな」なんて言われてしまった成瀬は現代に戻ってこれからどうやって生きていくのだろうと考えずにはいられない。
バカバカ言い合って、でも互いの勇気と強さを認め合って、かく乱役のBチームとしてたった2人で持ち場を任されて。
前世から相棒だったんじゃないかと錯覚する程の息の合った戦い。
徒手で小回りが利いて相手を翻弄し隙を作れる相良と武器によるリーチがあって一撃必殺で止めも刺せる成瀬。
短所を補い合い、敵を翻弄する2人をいつまでもどこまでも見ていたかった。
2人とも現代に戻って学校で笑い合う姿を見てみたかった。
相良は分かりやすく男気一直線・単細胞バカでとにかく空手が強くて、そして周りを見て助けたり声を掛けたりしていけるとても優しい人。
クラスでも部活でも絶対に人気者だ。
成瀬はフェンシング実力者だけど自分の前髪にすごく拘りがあって、プライドも持っていて、負けず嫌いで、でも相良と同じく他人のために自分の力を発揮出来る人。
2人とも初登場シーンは校内で部活の仲間だけでなく他の生徒たちにも積極的に声を掛けて助けに行っていた。
いくら強かったとしても自分の身だけでなく他人まで助けるなんて咄嗟に出来るものではない。
人質に取られた他の生徒達を救出に向かう意志を持つ人たちは自分の仲間や恋人、憧れの人が連れ去られたといった人がほとんど。
そんな中、主人公格3人を除くとこの2人だけが少なくとも映画で分かる範囲では接点がない人たちの救出に名乗りを上げている。
この救出作戦は強制ではなかった。
それなのに、人のために命を懸ける2人。
とても眩かった。
体育館で集まる事になり、輪が出来た時には全く違う場所にいた2人。
成瀬は輪の中心近くにいたとき、相良は輪の一番外にいた。
最初の野武士と同じように自分たちをいつ襲ってくるか分からない見知らぬ兵達に囲まれた状況でおそらく臨戦態勢を解いていなかった。
孝太が立ち上がって話を聞くよう声を出した時にようやく姿勢を変えて傾聴モードに入る。
「桶狭間の戦いって・・・なんだ?」
勢いよく声を出したものの歴史をよく分かっていない相良。
ここ。ここで、前に進み出た瞬間、偶然成瀬の近くのポジションに来る事となった。
この時の成瀬は何も言葉を発せずバカだなぁこいつという目でしか見ていなかった。
初めて映画を見たときは常に成瀬は相良にツッコミを入れているかと思ったがそうではなかった。
ツッコミを入れだしたのはこのすぐ後、再度「水戸黄門か?」と少し的外れな発言をした時。
ここでようやく「バカは黙っていろ」と。
相良はそこですかさず言い返そうとするも言葉が出ず、その時ちょうど前髪をくるくる触っていたのを発見して前髪バカと成瀬に言い返す事になる。
バカと言われてカチンときた成瀬が更に返したのが空手バカ。
バカにバカの応酬。
実に男子学生らしいバカバカしい言い合いだ。
でも、そこがいい。
きっとこの2人は良いコンビになる。
そう予感させるものがそこにはあった。
「押忍!全身凶器、相良煉!参戦!!」
「俺も行く。日本刀には負けられない」
少し意味はわからないがド直球な相良とひねくれた言動からにじみ出る熱い闘志を持つ成瀬。
再三の話になるが、この2人は救出作戦に参加する動機はない。
ただ、自分達の学校の生徒達を、これ以上学校の仲間たちを失わないよう力を尽くそうとしている。
救出に出発する直前、今生の別れになるかもしれない。
残る生徒達と作戦に挑む生徒達の僅かな交流。
そこで何故か主人公の蒼に自身の黒帯を手渡す相良。
不可思議なシーン。
相良にとっての黒帯とは?
きっと今まで空手命で生きてきた相良。
そんな相良にとっての黒帯とは自分が燃やしてきた命。
そして覚悟そのものだったのではないか。
それを蒼に託すという事はつまり作戦の中心人物となる蒼を信じて命を預けるという行為だったのではないだろうか。
もしかしたらそういった辺りは小説版を読むと書かれていたりもするかもしれない。
今はただ、映画だけを見て感想を書いているから私はただ見て、感じた事だけを書いている。
一方成瀬は女生徒から手紙を渡されている。
こんな非常事態に。
いや、もう最後かもしれない今だからこそ。
想いを届ける勇気。
成瀬はイケメンだ。試合の成績も優秀。
あの感じなら学業の方も良い方に入るのではないだろうか。
モテないわけがない。
が、きっと高嶺の花過ぎて実際に告白までいたった人は少ないような気がする。
成瀬は返事をしない。
直後、出発の号令。
泣きながら見送る彼女と歩き出した後、静かに手紙を見つめ、しっかり手紙を持って前を向く。
今ここに自分の事を思ってくれる人がいる。
それはきっと成瀬に生き抜く勇気を与えてくれたはずだ。
山道を行軍する体力自慢なスポーツエリート達の束の間の休憩。
ここでも色んな人に声を掛けて回る相良。
人を鼓舞し、自分を鼓舞し。
人と関わる事で己を保ち、真っすぐ前を向いている。
人数こそ30名近いが実際問題として戦闘が出来るのは皆を率いている剣道部主将で個人戦優勝の考太、ボクシング学生チャンプの黒川、そしてフェンシングインハイ準優勝の成瀬に空手選抜優勝の相良の4人だけ。
不安がないはずがない。
ある種それを体現しているのがこの時の成瀬の行動だ。
主人公達が話をしている画面の奥、1人で成瀬がしていたのはサーブルの細い刀身を鏡にし、前髪を必死に整えている。
平静になれる状況ではないからこその試合前のルーティーンのような。
体育館で相良に空手バカと言っていた時と違い表情の余裕が全くない。
虚勢で繕っている心を必死に保とうとしているかのような姿。
この後、梁川の手のものによる奇襲にあい、散り散りに逃げる事になる救出部隊。
連れ去られた幼馴染のヒロインに志半ばで死に至った生徒も。
松平元康の陣に命からがらたどり着き、更に失った仲間たちを想い、投げ出しそうになる生徒達。
分け与えられた握り飯とお吸い物。
塩っ辛いと顔をしかめる野球部員を横目に「そうか?」ときょとんとした顔をする相良。
「舌もバカか」
とすぐに憎まれ口を叩く成瀬だが「でも、染みるな、、、」と。
優し気な顔をしながら最初によそったお椀は相良に渡し、自分の分も改めて鍋から掬う。
張り詰め倒し、体を動かし続けた心と体に染み入る塩分。
母親が作る勝負飯でウィンナー=Winnerを涙目になりながらも明るい声色を作って身振り手振りで語る相良。
少し微笑みながら「ダジャレかよ」なんて誰よりも先にツッコむ成瀬に周りからあふれ出る笑い声。
今までありふれていたはずなのに突如失った日常の片鱗。
帰る意志と仲間を連れ帰る決意を再確認した夜。
翌朝、再出発しようとする間際、帰れる見込みを告げる風雲急の知らせ。
帰路の時間も考えると救出に使える猶予は2時間。
帰れるんだ、でもそのためには救出に使える時間がほとんど残されていない。
そう思ったこの時、心が揺れたのは成瀬だった。
2時間はさすがに無理じゃないか、と。
現実的な話だ。誰しもの心に瞬時に浮かんだ希望と絶望。
そうだ、成瀬にとってここから行く道に本当に大切な存在は、いない。
思ったとしても口に出すのが怖くて言えない言葉。
勿論、部員を恋人を連れ去られたメンバーがほとんどだ。
こんな所で止まるわけにはいかない。
急いで前進する事を決断する一団。
弱音は漏らしてしまったものの成瀬もすぐさま気を持ち直し、共に進む。
丸根砦は目の前。
現代のスポーツと科学の力を駆使し、約20人で500人駐屯する砦に奇襲を仕掛ける星徳学院高校の生徒達。
チームプレイと得意の飛び道具で正面から陽動するアメフト部と野球部のAチーム。
背後から回り込み場を混乱させる少数精鋭、空手部相良煉とフェンシング部成瀬勇太のBチーム。
そしてその隙に人質救出へ上を目指す指揮官であり、主人公蒼とボクシング部黒川、国際科学オリンピック金メダル萬次郎のCチーム。
ヒット&アウェイという言葉が蒼からは告げられていたが、Bチーム2人の役割だけは完全に敵と直接対決する事が前提の作戦となっている。
冒頭の方でも書いたが、2人のクライマックス。
2人で背中合わせに初めてとは思えない連携を取って相手を着実に倒していく。
相手に打撃を与える相良と、一撃必殺の成瀬。
そう、成瀬が、成瀬だけがこの救出作戦で唯一自分自身の手で人を殺す手段を持っていた。
やらなければやられる状況下。
その手に握る汗と涙の結晶は血で濡れ、肉を刺していた。
主人公とヒロインの弓道部2人も勿論、人を殺してしまう事が出来る力は持っている。
だが、例え相手を倒したとしても手に命の感触は残らない。
猛者相手に切りつけられ、倒れて剣を手放してしまった成瀬。
きっと他の誰よりも他人の命を奪う事になった成瀬だからこそ自分にその番が近づいて感じてしまった恐怖。
剣を取り直す事も出来ず、心が折れ、這いつくばって剣を振りかざす敵に背を見せた瞬間。
間に割って入った相良に救われた命。
素手で剣を握り、押し戻す相良だが、力及ばす倒れる事になる。
駆け寄る成瀬。
「先行くぜ、前髪、バカ、、、」
そう言って意識を失う相良。
たった3日。
だが確かに命を預け合った戦友。
剣を取り再び立ち上がる成瀬の目には激情に狂っていた。
前髪を気にする余裕もない程に気迫を込めた刃で仇を打ち取り、再び相良の元へまともに歩けない体で相良の元へと這い寄る。
「煉、ありがとう」
この言葉が相良に届いた事を願わずにいられない。
この台詞、パンフレットを読むと監督が成瀬役の飯島君に完全にまかせた心からの叫びを撮影したアドリブだと書いてあった。
それを読んだ瞬間嘘だろ、と。
私の心をかき乱すこの言葉が、アドリブだなんて。
なんてとんでもないものが生み出されてしまったのだ。
ありがとう。
取り乱してしまったが気を取り直し、成瀬が発した「煉」という呼び名。
それまでバカか空手バカとしか呼んでいなかったし、相良に至っては最後まで名前は呼ばず前髪バカだった。
タイムスリップするまで接点がなかっただろう2人。
何故、成瀬は相良の下の名前をしっかり記憶していたのか。
勿論、仲間たちから煉と呼ばれてもいたかもしれない。
だがそれとは違う要因もあったのではないかと推測する。
「相良煉」実はこの名前、相良自身がスクリーンに現れるより遙か前に出現している。
それは学校の正門から臨んだ時に見える垂れ幕だ。
強豪校らしく優秀な成績を収めた部活名などの垂れ幕がある中、「相良煉」の垂れ幕も存在していた。
スポーツ強豪校、表彰する生徒が多すぎて優秀な成績を収めてもあの垂れ幕として個人名が記載されるのは恐らくほんの一握りだ。
相良は個人戦の覇者。
垂れ幕となり称されるに相応しい結果を残している。
成瀬の成績だって素晴らしいものだ。
しかし、準優勝。
優勝には一歩及ばなかった成瀬はいつか自分も、とあの垂れ幕を見上げる事が少なからずあったはずだ。
顔は初めは一致していなかったかもしれない、でもよく知った名前。
剣を投げ出す程心が折れた成瀬にとって、自分の身を挺して守ってくれた相良は剣士としての心も救ってくれた存在になったのではないか。
それが最後、あの瞬間、心から溢れてきたのではないだろうか。
最後最後と書いているが成瀬はまだ生きている。
生きていてくれた。
人質を救出した他の部員達に支えられ、学校へと戻ってきた。
その体に相良が身に着けていた黒帯を巻きつけて。
一人で歩く事も物を掴み続ける事もままならなず意識を朦朧とさせても落としてしまわぬよう。
相良がそこにいた証を。
相良にとって、命と覚悟の全てだったかもしれない黒帯を。
学校に着き、残った生徒達と顔を合わせた瞬間、崩れ落ちながらも体からほどき目の前にいる女生徒に泣きそうになりながら差し出す黒帯。
どんな想いでそれを持ってここまで帰ってきたのか。
先に行ってしまった相良の気持ちを背負ってこれからも成瀬はきっと生きていく。
生き抜いていく。
ヒロイン遥の松葉杖が物語る夢ではなかった現実。
非現実のようないつも通りの学校生活。
何を想い、どうやって成瀬は生きていくのか。
そんな事ばかりが頭を占めた結果がこれだ。
映画は既に2回観に行き、このブログを書き終わったら読もうと思って電子版で買ったノベライズ。
そして、期間限定でこれを書いている今日まで5巻まで無料となっている原作の群青戦記。
まだまだ私を狂わすものが待ち受けているが一旦筆はここで置こうと思う。
ノベライズと原作を読んでから更に追加で記事を書くことになるかどうかは分からない。
書かずにはいられなかったこの胸に渦巻くパッションはまだまだ収まらない。
映画内でふい浮かんでくる皆が生きて笑っている卒業写真の風景。
キャストさんがTwitterにあげていた写真では相良に乗り上げて無邪気に笑ってじゃれている年相応な男子高校生の成瀬がいた。
低い体勢ででも踏ん張る相良の可愛さも相まってこんな、こんな平和な皆の学園生活をただただ見てみたい、ifの物語を願わずにはいられなかった。
誰しもが誰かにとって大切な人だ。
今回、私は相良煉と成瀬勇太についてのみ言及し続けたが他のキャラクターそれぞれにも背景が、友人が、家族がいて、しっかり個性が出ている。
2回目に見たときは結果が分かっているからこそ誰がどうあっても泣かずにはいられなかった。
後1回はもう一度相良煉と成瀬勇太を目に焼き付けに、更にもう1度、今度は他の部の生徒達の生き様も目に焼きけに劇場を行こうと思う。
思わぬ出会いに感謝します。
ありがとう。
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2021/7/14追記
今日でブレイブに出会って4ヶ月記念日。
来週には円盤が発売。
楽しみです。
そして、どうしても書こうとして忘れてた一番好きなシーンを今更ですが書き足し。
「星徳学院空手部!!!」
「同じくフェンシング部!!!」
と名乗りを上げる相良と成瀬が大好きで大好きで堪らないシーンです。
あれを円盤で何度も繰り返し観れるかと思うと心が滾ります。
本当に、私と出会ってくれてありがとう。